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「ま、良いや。おいで?」
「うん」
B邸に行くと数人の友だちが溜まっていた。
さとしはすぐに用事がすんだらしく、15分もしないうちに私たちはB邸を出る。
「あ、」
さとしの声に顔を上げると、目の前には仲良さそうに歩くマヤくんとかおるさんの姿があった。
「ほんと、仲良いよね」
「あぁ」
「マヤくんがかおるさんに出会うまで、あのかおるさんの位置には私がいるのが当たり前なんだって思ってたのに」
チラッとさとしを見たら、さとしと目が合った。
「…マヤくんは、私を好きにならない」
「絶対に?」
そんな質問をするさとしがおかしくて、少し笑ってしまった。
「マヤくんにとって、かおるさんは特別なんだよ。そういう特別に私はしてもらえないから」
物心ついた頃から、私はマヤくんとずっと一緒にいる。
だから、知ってる。
マヤくんにとって、どうしようもなく大切な存在かそうじゃないかくらいの見分け方。
「ふふっ」
いきなり笑った私を怪訝な顔でさとしが見る。
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