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「な、何を言っている?」
「私は水野が好き」
「お前はあいつの主人だぞ?」
「だから何?お父様も分かってるでしょう。水野は仕事ができるわ」
あの日の夜、水野はまた私を抱いてくれた。
前よりも愛してもらっているんじゃないかと思えた。
でも彼はやっぱり言葉をくれなかった。
「仕事ができるのと、お前の相手とは別だろう?」
「お父様は水野が嫌いなの?認めてない?」
「嫌いなわけない。それに俺の右腕だ。認めてるに決まっているだろう」
お父様は深いため息をついて私を見た。
反対なのか、私は少し俯く。
「私は水野が好き。大好きなの。恋愛しても良いでしょ?」
「夏芽が水野を好きになるのはかまわんよ。けれど、水野がお前を好きになるのか?」
「…分からないけど」
ふふっ、と笑ってしまう。
あの行為も私の気持ちも間違っているのかな?
それすら私には良く分からない。
けれど、水野はその日の夜も私の部屋へと当たり前のようにやって来た。
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