恋々雨

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「お前、社長に何言ったんだよ」 「あ、お父様にもう何か聞いたの?」 「楽しそうだな」 頭をグウで押される。 後ろによろけてから、壁にすがる。 「私、水野が好き。大好きよ」 「ありがとう。で、だから?」 「…婚約することになったの。お父様に水野が好きと言ったら、水野はお前を好きにならないよって。だからお父様が決めた相手と結婚するの」 水野はスーツを脱ぎソファにかけ、クローゼットの中の自分のジャージを探している。 「今日、夏芽はお前が好きなんだなと言われた。けど結婚の話は知らない」 「当たり前よ。私が直接言うからお父様は何も言わないでと頼んだの」 「俺がお前を止めると思うか?」 「思わないわ。別に水野と結ばれたくて結婚を選んでない。ただ、水野の本心が聞きたいの」 私を大切にしてくれる水野。 私にヤキモチを妬いてくれる水野。 一言で良い。 水野に私が好きだと言って欲しい。 「お前は何故、俺に執着する?」 けれど、返って来た言葉は私の予想を遥かに超えるヒドイ言葉だった。
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