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「小さい時から、マヤくんは私を甘やかしてた。私が欲しいモノは例えどれだけ自分が欲しくてもくれたの」
「うん?」
「今もそう。そんな性格は変わってないけど、6歳頃かな?マヤくんが持ってたブレスレットだったと思うけど、欲しくて欲しくて。でもそれだけは、私がどんなに泣いてもくれなかった」
「なんで?」
少し前にいるマヤくんとかおるさんに気付かれないように、私たちは立ち止まる。
「それはマヤくんにとって、おばあちゃんがくれた最後のものだから。マヤくんがそれを買ってもらった次の日にいきなり、心筋梗塞で倒れて意識が戻らないまま亡くなった」
「え…」
「だから、マヤくんはそれを今も大事にしてる」
「長年一緒にいるから分かるってわけ?」
「…私は、マヤくんの大切な物リストには載ってない」
はぁ、とあからさまなため息をついた後にさとしが私の頭を撫でる。
「お前、ほんとアホ」
「はぁ?」
「それなのに、お前の大切な物リストの1位は何年経っても先輩なんだろ?」
「うん…」
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