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当たり前だろう。
否定し続けていた水野の中の私という存在を、感情的になりすぎて、口に出して私に伝えてしまったんだから。
「人聞きの悪いこと言わないでよ。ねぇ、水野」
「なんだよ」
「大好きよ」
「…あぁ」
「神田さんと別れたから、もう不倫や浮気相手になったりしないから」
水野に抱き着く。
水野は抵抗せず、私の背中に手を回してくれた。
「ねぇ、水野。大好き」
「…俺も、好きだよ。夏芽のことすごく愛してる」
「本当に?」
「本当に。もう、良いや」
「え?」
はぁ、と水野が大きすぎるため息をつく。
私は不安になって水野を見上げる。
「夏芽、俺と結婚を前提に付き合ってくれないか?」
「え…」
「生涯、お前だけを愛すと誓えるよ」
水野からの甘い甘い言葉。
気が付くと私は泣いていた。
「水野、私…」
「うん」
「水野の彼女にしてください」
もう一度抱き着き返す。
暖かい。
大好きで大好きで、愛おしくて仕方ない水野。
初めて暖かさを感じた気がした。
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