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「迷惑なんかじゃないよ。美帆に毎日会えるなんて、入院に感謝しなきゃな」
「良く言うよ」
私は由貴くんを軽く叩いて「また明日」と病院を後にする。
このあと、あの人がまた来るかもしれないし。
私が毎日来るなんて言ったから、由貴くんはちょっと落ち込んでいるかもしれない。
あの人に会えなくて…。
「あ~、もう嫌」
「叫ぶな、うるさい」
「ひどい」
「美帆のせいだろ?なんで浮気相手来て、お前が遠慮してトイレ行ってんだよ」
幼なじみの晴矢。
私の相談相手をしてくれて、もう何十年が経っただろうか。
「彼女として、余裕を見せたかったの。2人にしても何も気になりませんよって」
「アホか」
「だって、2人が前に付き合ってたってこと知ってるの知ってるし。だから…」
「無意味な見栄だな」
バッサリと晴矢に切られて、さらにヘコむ。
普通ならこんな時、なぐさめてもらえるんじゃないかとか考えるけど、晴矢は絶対になぐさめてくれない。
ただ、傷が広がらないくらいの応急処置くらいならしてくれる。
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