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ムカついたので、晴矢の背中を蹴る。
晴矢にするみたいにまでは言わないけれど、由貴くんに対する小さな「遠慮」を無くすことができればとは思う。
「…情けないや」
小さな声の呟きが届いたらしく、こっちを向いた晴矢と目が合った。
けれど、晴矢は何も言わない。
その後、おばちゃんの作ったご飯を食べて晴矢に家まで送ってもらう。
「ありがとう、またね」
「ああ。美帆もあんま考えすぎるなよ」
「分かった。…てか、晴矢は彼女とどうなわけ?」
「ん?仲良しカップルだ」
晴矢の「仲良しカップル」発言に爆笑。
晴矢の彼女は一つ年下で、とても可愛い。
気が利いて、優しくて、ヤキモチ焼きな彼女さんは晴矢にはもったいないくらいの良い子。
「そりゃ、良かったね。じゃ、家入るね」
「うん、また」
「バイバイ」
家に入ると私はまず携帯を確認する。
友達からメールが来ていただけで、由貴くんからは何もなかった。
元々、そんなに頻繁に連絡を取っていたわけでもないけれどやっぱり寂しい。
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