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次の日、私は夕方に病院に向かう。
入院は暇だろうから、雑誌数冊と由貴くんの好きな飴を買った。
由貴くんの病室は個室だけど病室の扉は開いたままになっているため、私はそのまま中に入った。
「由貴くん、来たよ」
「あ、美帆」
由貴くんは雑誌を読んでいた。
私が買った由貴くんの愛読者と同じもの。
「それ、どうしたの?」
「ああ、昼に沙織が持って来てくれたんだ」
「…そう」
私は携帯をカバンから出すふりをして、由貴くんに雑誌が見つからないようカバンのチャックを閉める。
「あ、飴買って来たから食べてね」
「ありがとう」
飴を受け取ると由貴くんは開いていた雑誌を閉じて、不思議そうに私を見上げる。
「座んないの?」
「あ、うん。座る」
ハハッ、と笑いながらベッドの脇にある丸イスに座る。
「やっぱり暇?」
「暇だよ。大学行きてえし」
「ははっ、あと1週間の我慢だね。たっ君とかが心配してたよ」
由貴くんと話ながら考えるのは沙織さんのこと。
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