48人が本棚に入れています
本棚に追加
それからだいぶして泣き止んだ私は、晴矢に手を引かれて病院を後にした。
その姿を想像したら、あまりにも滑稽で何故か笑えた。
親と子みたいだ。
「晴矢っ」
「なんですか?」
「ごめんね…」
「ははっ、今さらだし」
握ってもらっている右手が温かくて、私はギュッと握り返した。
家に着き、手を離す。
「…私、桃子ちゃんに謝らなきゃ」
「なんで?」
「最近、晴矢のこと独占しすぎてる」
「だから、今さら?なんか桃も美帆さんは特別~っとかって許してるみたいよ」
晴矢が笑っている。
私も自分が情けなさすぎて笑った。
桃子ちゃんがいい子すぎて。
桃子ちゃんが理解力ありすぎて、結局私は皆に甘えているんだ。
「…情けない」
「またそれ?」
「だってっ!!」
「ならさっきの場面で、慣れてるからとか言ったらダメだろ」
何故、由貴くんの前で強がることしかできないんだろう。
私だけをちゃんと見てと、愛してと言えないんだろう。
私は何を怖がっているんだろうか。
最初のコメントを投稿しよう!