片想愛

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それからだいぶして泣き止んだ私は、晴矢に手を引かれて病院を後にした。 その姿を想像したら、あまりにも滑稽で何故か笑えた。 親と子みたいだ。 「晴矢っ」 「なんですか?」 「ごめんね…」 「ははっ、今さらだし」 握ってもらっている右手が温かくて、私はギュッと握り返した。 家に着き、手を離す。 「…私、桃子ちゃんに謝らなきゃ」 「なんで?」 「最近、晴矢のこと独占しすぎてる」 「だから、今さら?なんか桃も美帆さんは特別~っとかって許してるみたいよ」 晴矢が笑っている。 私も自分が情けなさすぎて笑った。 桃子ちゃんがいい子すぎて。 桃子ちゃんが理解力ありすぎて、結局私は皆に甘えているんだ。 「…情けない」 「またそれ?」 「だってっ!!」 「ならさっきの場面で、慣れてるからとか言ったらダメだろ」 何故、由貴くんの前で強がることしかできないんだろう。 私だけをちゃんと見てと、愛してと言えないんだろう。 私は何を怖がっているんだろうか。
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