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高校の時からずっと付き合っていた彼女がいた。名を水無月 佐織(ミナヅキ サオリ) という。
サラサラしていて触れると気持ちが良い、黒くて艶のある長髪。見つめられると逸らせられないほどの目力を持つ、黒曜石の瞳。暗闇にいても映えるほどに白く綺麗な肌。
要するに、世間一般で「美しい」、または「綺麗」と呼ばれるくらいな女性だ。
彼氏である俺、灯 智也(アカリ トモヤ)が言うから間違いない。
恋は盲目だ? 過大評価しすぎじゃないのかって?
そんなことはない。
実際、俺と佐織が付き合うと知った周りの反応が凄まじかったからな。やれ「釣り合わない」だの、やれ「お前に佐織はもったいない」だの。
放っておいてくれという話だ。
確かに、平々凡々という言葉が相応しい俺だが……。
佐織から告白された時は夢のまた夢だと思って、実際に自分の頬を本気でつねったさ。あれは痛かった。
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