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「じゃあね」
遼にそう言って背を向けた。
…その瞬間。
腕を引き寄せられ、僕は、遼に抱き締められていた。
次の瞬間には唇を塞がれていて…。
それがキスだって気が付くのには少し時間がかかった。
「巴、ずっと好きだった。初めて会ったあの時から」
遼はもう一度、僕をギュッと抱き締めた。
すっごくびっくりして、何も言えなかった。
何だか、一瞬のようであり、長い時間のようでもあって。
抵抗しなかったのは、嫌ではなかったから。
「ねぇ、遼。僕たち、会ったことあったっけ?」
遼の腕の中で、僕は気になっていたことを口にした。
「やっぱり、覚えてなかったか。もう、10年も前の事だし…名前違ったし」
それを聞いても、やっぱり覚えはなかった。
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