第3章

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「じゃあね」 遼にそう言って背を向けた。 …その瞬間。 腕を引き寄せられ、僕は、遼に抱き締められていた。 次の瞬間には唇を塞がれていて…。 それがキスだって気が付くのには少し時間がかかった。 「巴、ずっと好きだった。初めて会ったあの時から」 遼はもう一度、僕をギュッと抱き締めた。 すっごくびっくりして、何も言えなかった。 何だか、一瞬のようであり、長い時間のようでもあって。 抵抗しなかったのは、嫌ではなかったから。 「ねぇ、遼。僕たち、会ったことあったっけ?」 遼の腕の中で、僕は気になっていたことを口にした。 「やっぱり、覚えてなかったか。もう、10年も前の事だし…名前違ったし」 それを聞いても、やっぱり覚えはなかった。
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