第3章

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「ごめんね…思い出せなくて」 「いいんだ。こっちこそ、驚かせてゴメンな」 遼は僕をそっと離した。 「それじゃあ、また明日な」 くるりと背を向け、歩いていってしまう。 「また、明日ね」 急いでそれだけ言うと、彼はこちらを振り向かないで、それでも手を振ってくれた。 遼の背中を見えなくなるまで見送って、僕は空を見上げた。 今夜は満月。 でも、せっかく月は霞がかかり、半分雲に隠れてしまっている。 それはまるで、遼の告白にすぐに返事ができない僕のようで…。 遼ほど魅力的な人なんて、そうそういない。 そんな人に愛を告白されることなんて、多分もう、一生ない。 遼なら間違いなく幸せにしてくれるだろう。 でも…。 何かが引っかかっていて。 でも、それが何なのかわからなくて。 僕は、やりきれない気持ちのまま月を見続けていた。
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