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「巴ー!」
奥で龍司さんの声がした。
「さっそく仕事だな。頑張れよ~」
リョウさんが言った。
仕事? 何だろう?
とりあえず、龍司さんの声がする、ドアの奥へ行ってみた。
そこは、事務所兼休憩室みたいな部屋だった。部屋の隅にはスチールの事務机。その上にはノートパソコン。机の足元には金庫があった。
部屋の真ん中にはテーブルと椅子があって、そこに単さんと龍司さんが向かい合わせに座っていた。
「おう、巴。お前に頼みたい事があるんだよ」
龍司さんが言った。
…何だろう?
「そんなに大げさな事ではないんだけど…巴君、バイトする気はない?」
へ?
「皿洗いしてくれてた人が辞めちゃってさ。人手が足りないんだ。巴君の手を借りられるとありがたい」
単さんが言った。
そういうことか。
皿洗いをすればいいんだな。皿洗いなら奥に籠ってるから、学校にもバレないだろうし。
何より、単さんと龍司さんの頼みだし。
「僕、やります」
そう答えた。
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