第1章

9/15
前へ
/58ページ
次へ
「巴ー!」 奥で龍司さんの声がした。 「さっそく仕事だな。頑張れよ~」 リョウさんが言った。 仕事? 何だろう? とりあえず、龍司さんの声がする、ドアの奥へ行ってみた。 そこは、事務所兼休憩室みたいな部屋だった。部屋の隅にはスチールの事務机。その上にはノートパソコン。机の足元には金庫があった。 部屋の真ん中にはテーブルと椅子があって、そこに単さんと龍司さんが向かい合わせに座っていた。 「おう、巴。お前に頼みたい事があるんだよ」 龍司さんが言った。 …何だろう? 「そんなに大げさな事ではないんだけど…巴君、バイトする気はない?」 へ? 「皿洗いしてくれてた人が辞めちゃってさ。人手が足りないんだ。巴君の手を借りられるとありがたい」 単さんが言った。 そういうことか。 皿洗いをすればいいんだな。皿洗いなら奥に籠ってるから、学校にもバレないだろうし。 何より、単さんと龍司さんの頼みだし。 「僕、やります」 そう答えた。
/58ページ

最初のコメントを投稿しよう!

805人が本棚に入れています
本棚に追加