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「着いた!」
暗くて何かよくわからない。
首を傾げかけたその時、フワリと光が舞った。
「な?綺麗だろ?」
綺麗な光は色々な方向へとフワフワ舞う。
蛍だ。
見とれていたら、ふと息を吸って
「――♪」
流れ出す旋律。
心の中だけで出た筈の音が耳に届いた。
「…っ……六花…声が…」
それは松田くんにも聞こえてたみたい。
振り返って、思わず松田くんに抱きついた。
「あ…りがと…!ま…っだくの…おかげ…だよ!」
舌足らずにそう言えば、松田くんは微笑んだ。
「良かったな」
優しい言葉。
だけど、その言葉も表情も、どこか哀しげだった。
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