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松田くんに連れられて、森の中を歩く。
私達を邪魔する小枝は、前を歩く松田くんが折って歩いてくれるから、私の服が引っかかる事はない。
さっきは怖くてちゃんと顔を見れてなかったが、そこそこカッコイイ気がする。
自然な茶髪はボサボサな感じで、それがまたカッコイイ。
このルックスでこの性格…モテるんじゃないかな?
なんて考えてた時
ふと開けた視界。
そこは、私がさっきついたばかりの場所で。
遠目からお母さんが私達を見つけて問いかける。
「おかえりなさい、六花。早かったわね」
松田くんはここで正解とわかったのか、手を離す。
不思議に思って母と松田くんを見比べていると、松田くんは顔を反らした。
「六花、どかしたの?」
お母さんが言いながら近づいてくる。
松田くんがようやく口を開いた。
「膝、擦りむいてるから消毒しときなよ」
私の耳元で言うだけ。
それだけで、彼は去っていった。
それが初めて見せる、松田くんの違和感だった。
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