プロポーズ

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―――28歳 夏――― 愛しい彼が、胸を愛撫しながらあたしの上で快楽を獲ている。 そんな彼を下から眺め、気が遠くになりそうなのを必死に堪えて、さらに声をあげる。 「ヒロ・・・っト・・・もぅっ・・・ダメっ・・・あっ・・・やっ・・・ああぁぁ――っ!!・・・」 行為が止まることなく・・・お互いが果てた。 満足した彼――森 博人(モリ ヒロト)は、自分の処理をさっさと済ます。あたしと違い、さきほどの余韻になんて、これっぽっちのカケラもない。 「おい・・・おいっ、藤子(トウコ)!」 いつまでもベットからでてこないあたしを、少しイラついた感じで呼ぶ。 「・・・んん・・・もう時間?」 脱力感からか、思うように体が動かなかったが、彼を怒らせてはいけないと思いつつ、必死に起き上がる。 「早くしろよ。延長料金取られるだろ!」 そう言いながら時計に目をやる。 まだ痛む下腹部を気にしながらも、ヒロトの言うとおり、素直に行動を移す。 ――だって・・・ヒロトに嫌われたくなかったから――
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