242人が本棚に入れています
本棚に追加
「フッ…ハァッ!!」
大木から少し離れた場所で訓練をしていると白んでいた空から太陽が昇ってきた。
太陽の光を受け刹那の伸び放題の黒髪が輝いている。前髪からのぞく瞳は黒くクリクリしている。
刹那の外見は小柄で可愛い顔立ちをしているがその外見に騙されてはいけない。
刹那は修行になるとその小柄な体からは想像できないほどの覇気を迸らせる。
目には見えない威圧的な何か…。
それは覇気と呼ばれる気の一種で主に戦闘に用いる気のことだ。
一般人が覇気を纏った拳ででこピンをしようものなら吹き飛んでしまうような威力になる。
刹那は覇気を常人ではあり得ないくらいの量を出すとスッと圧縮、纏ってしまった。
そこからの刹那の動きには無駄がなくまさに達人並…攻撃のひとつひとつにはキレがある。
さっきのかわいい寝顔からは想像できない。
「我流、攻めの一句"透徹"!!(とうてつ)」
その言葉と同時に小さな拳を前に突き出した。
ドンッ!!
その瞬間、破裂音のような音が鳴り響き空気がぶれた。だがなぜか周りの木々は空気の揺れに対し葉一枚、動きはしなかった。
「…まだまだだなぁ…僕も。じいちゃんは目の前の木、全部吹っ飛ばしたんだけど…修行が足りないのかなぁ?。…まぁ、今日はそろそろ終わりにしよ。」
これからの目標をしっかり見定めそれに向かって気持ちを改め直しながら大木に戻って行った。
だが本人は自覚していない…。刹那が去った後、数十メートル先にあった障害物に拳くらいの穴が何本もの木や岩、阻むもの全てを貫通していた。
なぜ刹那は木を吹き飛ばせなかったのか…それは単純に放った技の性質によるものが原因である。
刹那の師匠であるじいちゃんは周りに広がる分散型に対して刹那は限りなく威力を収束する一点集中型。
つまりショットガンとライフルの性質なのだ。
じいちゃんとは違う性質の達人になったことを刹那は知らない…。
木々に穴を空けまくってついでに岩にもかかわらず貫通してしまう物が何百メートルも飛ぶ…さながらスナイパーライフルと言ったところか。
こんな物が人に当たったら軽傷ではすまないだろう。
刹那…恐ろしい子だ。
最初のコメントを投稿しよう!