初夜 日常が変わる日

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ドクン…。 心音が聞こえたと思ったら、空から白い羽のような物が降ってきた。 「まったく…、何処の軍人も変わらないのですね。 丸腰の子供に対して武装した複数の大人が囲んでいるなんて…恥って言葉を知っていますか?」 声がすると凄い勢いで上空から、白い鎧が俺と軍人の間に降ってきた。 クレータを着地地点につくり、着地の衝撃で先ほど降ってきた白い羽とクレータの瓦礫を吹き飛ばす。 背丈は、俺と同じ位。 エルトリア製と同じ形状の鎧で、これといった装飾は無かったけど…白い翼がついていた。 神々しさを感じる白い剣を携えて俺の盾になるように軍人達に立ち塞がってきた。 「…貴様っ、何者だ!!」 軍人達は、軍刀を構え始めた。 ピンチに変わりない、この状況で鎧は笑いだした。 「何者だ! …っですか。 クスクス。 実に滑稽ですね、普段から真実をねじ曲げている貴方達ならば…別に聞く必要なんてないでしょ? いつものように、頭に浮かんだ言葉を使い、今度は自分の頭にでっち上げれば良いんじゃないんですか?」 白い鎧は、軍人達を挑発するように首を傾げて空いている左手で自信の頭を指差した。 挑発にのったのか、軍人達は一斉に軍刀を突き立てて走っていく。 「黙れ!」 鎧は、俺を抱えた後に翼を広げて、ビルの上まで高く飛んでいく。 俺をゆっくりと下ろした後に、鎧は左手を軍人達に向けた。 「…そんなに知りたいのならば、お教えいたしましょう。 僕は、貴方達が…白影〔しろかげ〕と呼ぶ者です。」 “ブラスター” 鎧…“白影”は、左手から炎の球を放つ。 炎の球は、軍人達だけを飲み込み吹き飛ばした。 「…貴方達が流してる“白影”の噂は良く耳にしています。 悪魔、生きるもの全てを白紙の元に消し去る影、災厄。 この世の悪を塗りたくられた存在ですよ。 クスクス…嫌われた者ですね。」
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