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…何か、前にもこんな事があった気がするぞ?
気がつくと、俺は噴水の中にいて、びしょ濡れだった。
周りを見回すと、そこには懐かしい緑の風景。
何があったのかわからない。
「雅也ー。遅れてごめん」
俺を呼ぶ声がした。
声の方を向くと、そこには清人…ではなくて結衣。
俺は夢でも見たのだろうか?
清人に突き飛ばされた感覚はしっかり残っている。最後にキスをした、唇の感覚だって…。
ふと、自分の体を見回すと、コートを羽織ったままだし、胸にはちゃんとペンダントがあった。
「大丈夫? っていうか、何でコートなんか着てるの?」
結衣に言われて、慌てて噴水から出てコートを脱いだ。
「わかんねぇ」
「変ね。…まぁ、一回帰らないとダメそうだね」
「ああ」
答えたものの、どういう事なのかさっぱりわからない。
元の世界に帰って来てしまったのか?
色々考えながら、結衣について歩く。
「雅也、そんなの持ってたっけ?」
ぼんやりしていたら、結衣が言った。
どうやら、ペンダントの事らしい。
「ああ、もらったんだよ…大切な人に」
…清人はどうなってしまったんだろうか。
「大切な人って?」
結衣が言った。
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