14人が本棚に入れています
本棚に追加
こうして、優羽が、荒くれ者たちと喧嘩を始めていた頃、2人の男女が肩を並べて河川敷を歩いていた。
「…ねぇ!お願いよ!」
「…俺は絶対に嫌だ!こういうめんどいことは晶に頼めばいいだろうが…。」
「だから、数日前から晶が捕まらないからあなたに頼んでいるんでしょ!」
(チッ!晶の奴、逃げやがったな…。)
「…じゃ…他の奴に頼めばいいだろうが…。何でそんなことをわざわざ俺に言ってくるんだ?」
「…だって、背が高くて均整が取れた顔立ちをしている人物ってなかなかいないんだから…。あなたにまでこの話を断られたら、私はどうすればいいか…ぐすっ…」
「…ちょ…ちょっと待て!泣くな!わ、わかったから!俺がやればいいんだろ!やれば!」
「本当!わぁ!ありがとう!」
男は、女の話をしぶしぶ受けると同時に満面の笑顔で喜ぶ女を見て、ただため息をつくしかなかった。
「はあ…。」
こうして、ぼんやりと考え事をしながら、男が再び歩き始めた頃、突然、女が男を呼び止めた。
「…ねぇ!向こうの河原にいる男の子の制服、あなたが通っている男子校じゃないの!」
「何?」
「悪いけど、様子を見にちょっと近くまで行ってみるわね。」
「…おい!ちょっと待て!…って…はあ…あの好奇心の塊が俺の言うことを聞く訳はないよな…。仕方ない…俺も行くとするか…。」
そして男は、またもやため息をつきながら、急いで女の後を追うのであった。
最初のコメントを投稿しよう!