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しかし、最初に渾身のパンチをあっさりと受け止められたために、沢木は柄にもなく力み過ぎたのかそのパンチは的を外してしまったのだが…それでも、さすがに目を当てられては叶わんと山口はパンチを無意識によけてしまったために、結局、かけていたグラサンを落としてしまうことになったのだった。
「うわっ!!」
「…ちっ!外したか…。」
「あ~あ…。俺の大事なグラサンが…。沢木、お前な…。一体、俺の何が気に入らないんだ?」
「…何もかもだ。山口、今回は外してしまったが、次はこうはいかないからな!覚悟しやがれ!」
再び、拳を振ろうとした沢木に対して、突然、何者かが沢木のことを止める声が聞こえてきた。
「…優羽!止めろ!」
「お前は確か上坂だな…」
「なんだ淳か…。お前な…俺のことを邪魔するつもりなのか?」
「…俺は別にお前の邪魔するつもりではないけどさ…。どうやら奴は違うみたいだぞ。よく顔を見てみろ!」
「………!こいつはまさか…。」
「ああ…。俺の記憶に間違いがなければな…。」
「…くっ!…淳行くぞ!」
「ああ…。」
(…何なんだ。あいつら…。それよりも、俺のお気に入りのグラサンが…。)
彼らが去ってしまった後、しばらく呆然としていた山口だったが、グラサンが壊れた現実に思わずため息をついてしまうのであった。
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