一章 【帝王の存在】

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一章 【帝王の存在】

〔再会。そして戦い〕 夏も終わり、もうすぐ秋にかわる日和の空の下。 「待ってよ、光!」 「ん?」 女子高生に名を呼ばれた学生服を着た少年の名は『小牧 光』 「何だ、愛美か」  そう呼ばれた女子高生の少女『小牧 愛美』は、光の双子の妹だ。 「もう、光行くの早いよ」 「お前が遅いんだろ。だいたい、17にもなってなんで妹と登校しなきゃいけないんだ?」 「良いじゃない、兄妹なんだから」  はたから見れば、微笑ましい光景。しかし、光の顔は曇っていた。 「もう、また暗くなる。…最近どうしたの? 変だよ、光」  すると光は立ち止まった。 「…もし、愛美と分かれることになったら、辛いと思ってさ」 「もう光、何言ってんの? そんなことあるわけないじゃん。私はずっと光の側に居るよ」 「…それと、お姉さん振るのやめろ」 「何でよ、私と光が産まれたのは、一時間くらいしか変わんないんだからね」  愛美は頬を膨らませて怒った。その辺はまだ子供である。しかし、光はかまわず歩き出す。 (…本当に居てくれたら、どんなにいいかな)  しかしその瞳、どこか遠くを見ていた。  学校の教室では、幾人かがグループのように集まったり、勉強の予習をしていたり、寝ている生徒がいた。 「昨日、また出たんだってな」「知ってる。仮面つけた男だろ」「なんなんだろうな」  グループを作っている男子からは、ひそひそと最近噂になっている仮面の男の話が聞こえた。
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