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質素だが天井が高く広い部屋に少女が落ち着きなく左右を行き来していた。
「リリー様、落ち着きなされ。」
「落ち着いてられるかっ!!出陣した皆の者が気掛かりじゃ。」
リリーと呼ばれた少女は諌めようとした老人に怒鳴った。
すると部屋の扉が慌ただしく開き、血塗れの男が息を切らしながら入ってきた。
「伝令。わっ我が…王は奴等の卑劣な…罠にかかり戦死…致しまし…た。」
男はそう告げるとその場に膝から崩れた。
リリー「おいっ!!!」
リリーの言葉に傍に控えてた老人が、動かなくなった男の首に手を当てると静かに首を数回横に振った。
リリー「人よ…我等を何故ーーー」
リリーの力無き声が静まりかえった部屋にこだまするのであった。
「ウグッ」
「んっ?すまん大丈夫か?」
深い森の中に人の声が二つ聞こえてきた。
金髪の碧目の男が何も無い場所から地面に落ちるとすぐに、銀髪の紅目の青年が金髪の男の上に落ちてきた。
青年は男に手を貸し立たせると周りを見渡していた。
「雪斗様、此処は?」
雪斗「分からん。だが俺がお前の世界に来た時と酷似している。」
雪斗と呼ばれた銀髪で紺の軍服着た青年は意味有りげな言葉を告げた。
「って事は異世界?」
雪斗「多分そうだろうな。マーク、取り敢えず町を探すぞ。」
雪斗は金髪で同じく紺の軍服を着た男をマークと呼びこれからの行動について話始めた。
「貴様等っ!!!ここで何をしている?」
二人が声がした方を振り向くと少女が雪斗とマークを睨み付けていた。
この少女との出会いにより、雪斗は再び戦乱へと身を投じるのであった。
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