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雪斗はリリーの振り向いて話を続ける。
雪斗「だから王は忠臣を作り、民の声を直に聞いて政治を行う。そんな当たり前の事をすれば人は王を賢王と呼ぶのさ。」
リリー「その当たり前の事でさえ難しいという事じゃな?」
リリーの言葉に雪斗は頷いた。
雪斗「俺は国が無くなるのを見た。理由は侵略だったがな。」
そして付け加えるように悲しかったよと告げた。
リリー「ふむ…祖父様も苦労しとるのだな。」
雪斗「…あぁそうなのかも知れないな。」
そんなシリアスな雰囲気の中、雪斗は何とも言えない表情で一粒の涙を溢した。
そんな雪斗に誰かが背中に抱き着いた。
ムニュとした弾力と花の香りが鼻腔を擽る。
リリー「き、貴様はフェン!!」
フェン「旦那様~。」
雪斗に抱き着いた正体はフェンだった。
今までのシリアスな雰囲気を何処に云ったのやら、雪斗に抱き着くフェンを一生懸命剥ぎ取ろうとしているリリー。
その光景に雪斗は思わず苦笑いを溢した。
雪斗「フェン離れろ。」
フェン「…はい。」
リリーが剥ぎ取ろうとしても離れなかったフェンは雪斗の一言でしおらしくなって離れた。
リリー「うなっ!!」
自分が離そうとしても離れなかったフェンが雪斗の一言で離れたが、心外だったらしくその場で地壇駄を踏んだ。
雪斗「フェン、何処から入った?」
雪斗が侵入場所を尋ねるとフェンは、窓の方を指差した。
指差された場所を見るとこの場から一番離れた窓が開けられていた。
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