序章:祈願

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「ん…」 月明かりはウルを照らし、ウルはその光で目を覚ます。 「…眠っていたか……」 本棚に背もたれていた体を起こして、少し伸びをする。 眠る前後の記憶が無いのか、辺りをキョロキョロ見回している。 周りの荷物が片付いているので、どうやら終わらせてから眠ったのだろう。 「……」 ウルは窓の外を見る。 窓から見えるその花畑からは何か人を引き付けるものがあった。 オーラとでも言うのだろうか。 月光さえも負けてしまうような存在感がその花畑にはあった。 「行ってみるか…」 白とは真逆の黒い上下の服を纏いウルはその花畑へと歩き出した。 この時はまだウルは気づいていなかった…月光よりもその花畑が白く輝いている事に――
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