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「ほう…庭園だったのか…」
花畑に着くと、規則的に置かれている小さな柵があった。
花は薔薇、白い薔薇だ。
「前の持ち主が手入れでもしていたのか…?」
まぁ、どうでもいいか。と自分の疑問を自分で完結させ、ウルは花畑…花園の中心に立った。
「確か、白い薔薇の花言葉は…
『私はあなたに相応しい』…と…『純潔』…だったか…」
パキッ。
何かが折れる音を聞いて、ウルは表情を変えて身構える。
音のした方には大木。
花園の存在感のせいもあって余り気にとめていなかった。
「…誰だ?」
重く威圧する声で問う。
しかし、人の気配は一切無い。
「…まぁ、いいか……」
ウルはそう呟き、踵を返す。
人の気配が無いので気にする必要は無いと判断したのだ。
確かにウルの判断通り周りにも、木の裏にも人はいなかった。
そう、人、はいなかった――
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