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ジャラジャラと響きの悪い金属音がする
下を見ればキツくキツく縛られた錆びた鎖
私に巻き付くFeOは鈍い音と共に私をゆっくりと、躯が崩壊するまで締め付けるのだ
こんな鎖を捲いたのは、誰でも無いこの私
然し、この鎖の恩恵か
私の躯に一つも他人から受けた傷は付いていない
只、己の首が締まるのみ
その鎖は、色々な物質で構成されていた
嫉妬、羞恥、虚無、そしてどんな紺碧の珠よりも深い哀と全ての物への恐怖
他人に侵入させるのが怖かった
他人に傷つけられるのが怖かった
他人に貶められるのが怖かった
他人に私の膿んだ傷を見られるのが怖かった
だから、私を鎖を捲く
どれだけ苦しくとも、どれだけ己が呼吸困難に陥ろうとも
鎖は決して剥がれない
私は永久にこの鎖の持つ手を離さないのだ
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