新月森と奇跡の花

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「ちょっと、ちょっとお待ちなさい」 ブワッと風が吹き乱れる中またさっきの声が聞こえて来ました。 強い風に一瞬目を閉じた彼女でしたが、直ぐに目を開け前を向くと、見知らぬ男が立っていました。 「こんにちは、可愛いらしいお嬢さん。こんな夜中に、こんなところでどうなさいました?」 男の紳士的な口調と装いは、この森にはとても不釣り合いでしたが、女の子は気にする素振りも見せずに静かに答えました。 「奇跡の花を探しに来たの、案内人さん」 彼女の言葉に驚いた様子の案内人は、でも直ぐに元の薄ら笑いをうかべました。 「よくぞお気づきになられましたね。私はこの森の案内人、クローバーと申します。以後お見知りおきを」 手を胸の前に出し、紳士的な挨拶をする彼に女の子もお辞儀をしました。 「私はケイティ、よろしくお願いします」 ケイティが可愛らしい声で挨拶をすると、案内人のクローバーはある方向を指差しました。 「ではケイティ、あちらの方へお行きなさい。貴女の望むものはその先に…」 言い終わるとスウッとクローバーは消えてしまいました。 ケイティは言われた通りの方向に歩き始めました。
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