2人が本棚に入れています
本棚に追加
「ちょっと、ちょっとお待ちなさい」
ブワッと風が吹き乱れる中またさっきの声が聞こえて来ました。
強い風に一瞬目を閉じた彼女でしたが、直ぐに目を開け前を向くと、見知らぬ男が立っていました。
「こんにちは、可愛いらしいお嬢さん。こんな夜中に、こんなところでどうなさいました?」
男の紳士的な口調と装いは、この森にはとても不釣り合いでしたが、女の子は気にする素振りも見せずに静かに答えました。
「奇跡の花を探しに来たの、案内人さん」
彼女の言葉に驚いた様子の案内人は、でも直ぐに元の薄ら笑いをうかべました。
「よくぞお気づきになられましたね。私はこの森の案内人、クローバーと申します。以後お見知りおきを」
手を胸の前に出し、紳士的な挨拶をする彼に女の子もお辞儀をしました。
「私はケイティ、よろしくお願いします」
ケイティが可愛らしい声で挨拶をすると、案内人のクローバーはある方向を指差しました。
「ではケイティ、あちらの方へお行きなさい。貴女の望むものはその先に…」
言い終わるとスウッとクローバーは消えてしまいました。
ケイティは言われた通りの方向に歩き始めました。
最初のコメントを投稿しよう!