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1984年、4度目のトレードで西武へ。
二軍の練習グラウンド。そこで、バッティングピッチャーとして投げた「38球」…。
それが、「優勝請負人」と呼ばれた男の最後のマウンドとなった。
1985年1月19日、多摩一本杉球場。
プロ野球関係者が一人もいない、草野球場での引退式。
江夏と親しい仲間たちが用意してくれた舞台だった。
しかし、彼はこれで終わりではなかった。
江夏が最後に見た夢…。海の向こうにあった、「メジャーリーグ」。そのマウンドで燃え尽きたい。
引退式のスピーチで、江夏はこう言った。
「江夏豊36歳、本当に馬鹿な男かもわかりません…。でも、日本に帰って来た時には、『ご苦労』。これだけ言ってやってください。」
一匹狼と呼ばれた男の、たった一人の旅立ちだった。
野茂がメジャーに行くその10年前、海を渡った男がいた。
「死に場所」を探して…
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