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「そんで、その依頼ってのは。」
さっそく話を切り出す。
タマキはといえばストローでオレンジジュースを飲んで完全に興味ナシだ。
「いや、ないよ?」
は? 何を、言ってるんだこの人。
「ボクは君たちの新しい依頼主だ。って言ったけど依頼する事なんてないんだ。そうだな、新しい家族。と言えばわかるかな?」
ポカン、とマサハルを見つめる。
「え?え?いや、わかんないですけど。何か仕事の依頼があって俺たちを呼んだんじゃ……」
「そうだね。んー、つまり君たちはまだ未成年だろう?誰かと暮らしていなければいけない年だ。だからボクが養子として引き取った。」
「なぁ、サツキ。養子ってなんだ?」
ちょっと黙ってろ!とオレンジジュースを飲み終えたタマキの前にお茶を差し出す。
「養子……って事はここが俺たちの新しい……家?」
「その通り。ただ君たちは特殊だからね。ただで養子として引き取るなんて他の連中が許さない。だからボクは専属の依頼主というかたちで君たちを引き取ったわけだ。」
「なるほど。そして仕事はしないでいい、と。」
そんな都合のいい話がどこにあるのか。
「確かに君たちが不穏に思うのも仕方ない。実を言うとね。これはモモに頼まれた事なんだよ。」
「モモに……?」
「そう。彼とは古くからの知り合いだから。恩もある。だから何もおかしいことはない。気にせずこれからは普通の人間として生活していいんだよ。」
「そーなのか?毎日ジュースも飲めるのか?」
おかわりするかい?と聞いて即答の返事を受け、マサハルは立ち上がった。
普通の人間として生活……そうか。モモが俺たちの為に…………。
ガタンと。オレは立ち上がった。
「……どした?サツキ。」
「タマキ。お前も立て。」
マサハルが振り向く。
「わかった。こちらとしても何一つ拒む理由がない。」
マサハルはちょっと驚いた表情。
「これから、よろしくお願いします。」
タマキの頭を掴んで、一緒に頭を下げた。
マサハルはん、と優しく笑ってそれに答えた。
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