ナイフと少年と切られた人達

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フツーの人間ってのは普段最大の力の3割ぐらいしか力を発揮してないんだって。     そんな3割しか出せない運動能力で戦ったり競い合ったりしてる。      全く無駄な話だと思わないか?          そんな、話を物心ついた頃モモに聴かされた。      あ、モモってのはなんていうか今の家族の中で言えば…父親?に当たる人。      モモいわく「でも、ボクはその力を5割ぐらいまで使っている。特別な人間なんだ。フツーの人達の一、五倍くらい力も強いし動きも速い。」とのこと。      それを聞いてスゲー、カッケー。なんて子供心に思ったオレはどうしたらオレもそうなれるのか、と聞いてみた。      またもモモいわく。    「簡単だよ。フツーの人と一緒に暮らさずボクと居ればいいのさ。フツーの人達が3割しか力を出せないのは、『それが人間の限界だ』っていう先入観があるからに他ならない。」      モモの話は子供であったオレには難しいモノだったけれど。とかくその日からオレの修行の日々は始まった。        それから10年以上。    ……ん?ま、オレは今15歳だから多分10年以上はやっただろう。      深い森の中で仮染めの家族と一緒に修行を続けた。       その間、オレが『仕事』をしたのは三回。      デビューが9歳。    次が12歳。    んで最後が13歳。                        だからオレは、今までに三度、『殺し屋』として動いた事になるわけだ。       
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