ナイフと少年と切られた人達

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最初の殺し。      それは戌井家、とかいうでかい屋敷に押し入ってそこの当主を暗殺するってコト。      「……いぬいけ?なぁ、モモ。とりあえずんなでっかい家に入ったって簡単にこの写真のヒゲを見つけられる自信がねぇよぅ。」      不安そうなオレの言葉にモモはいつもの笑顔で答えた。      「大丈夫だよ、サツキ。たとえ他の誰かに見つかったとしてもそいつも殺せばいいんだ。戌井家の当主、戌井三喜男だけ殺せ、とは言われてないからね。」      サツキ、という女の子みたいなオレの名を呼ぶモモ。    「ふーん、それならなんとかなるかな、だって敵はモモやアコよりぜんぜんよえーんだろ?」      アコってのはまぁ、母親代わりみたいな存在。      キキッ、とブレーキをかけて止まるモモの運転する車。      「ここまでかな。じゃあ終わったら落ち合う場所はわかってるね?」      「うん、ばっちオッケー!」      最後に、モモは真剣な顔で。    「無事を、祈ってるよ。」    そう言って、一本の短刀を手渡した。      「風斬り……。へへ、ようやく使えるんだな。」      極めて薄い刃。しかしその刃に切れぬモノは無いと言われるなかなかの業モノらしい。      ザッ        オレは一足で屋敷の塀を飛び越えて侵入した。        警報みたいのが鳴るらしいので、木から木へと飛び移りながら屋敷の二階のベランダに着地した。      しかしでかい家だこと。     窓ガラス越しに中の様子を伺う。      ………誰もいない。そりゃそうだ。電気ついてないし。    シュッと鍵を断ち切って窓を開け、侵入。        しかし、室内は無人ではなかった。    ベッドには同い年くらいの女の子が眠っていた。      「ありゃ、ま、顔見られてないからいいよね。」      そのまま廊下に出る。      っとぉ……ターゲットのヒゲの部屋は……っと。      「………あら?ぼうや、どこの子」      振り向く。なんかエプロンつけた女が驚いたようにこちらを見ていた。      それから、一秒とかけずに、女の首を胴体から切り離した。      「か……し……ら?」    ドサッ  びちゃあっ      ……むぅ、よく切れる。   さっすが風斬り。
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