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はじめての殺しだったけれど特に何とも思わなかった。だって一般的な道徳とかそういうのを学んだのはこっから5年くらい後の話なんだから。
「きゃあーーーーーっ!!」
続けてさっきの女について階段を上がって来ていた若い女を始末した。
風斬りの切れ味に酔って今度はわき腹あたりから肩まで真っ二つに。
いや、何とも思わなかったというのはウソだ。
オレは、この時、確かに殺人を、楽しんでいたんだから―――――――
さっきの女の声でロビーの方が騒がしい。
何事か、と二階の廊下にも人がたくさん。
…………しめて20人くらいか。問題無い。相手は丸腰。まったくバカな奴らだ。
地を這うような動きで廊下を端まで駆け抜けた。
ドサッ ドッ バタン
ぴちゃっ ぷしーっ
廊下に生きている命は自分以外消えた。
ロビーはもうパニック状態だ。
「け、警察をよ―――」
そいつは真上から刃を走らせた。
「ひっ!ひゃああああーー!」
男のくせにうるさいそいつは何度も風斬りを走らせ、バラバラにした。
そいつは、そいつは、そいつは、そいつは、そいつは、そいつは、あいつは、こいつは、そいつは、あいつも、こいつも――――――――――!!
返り血で全身びちゃびちゃだ―――。たまらない程の血の匂い―――
「は、はは…ははははは。」
あれ?まだ1人生きてやんの。
「……やれやれ。とんでもない小僧だな。」
そのヒゲオヤジは両手に短刀を構えてこちらを向いた。
「あっ、みーっけた。ははは。はじめからおとなしく出てこれば―――」
カキィン
「………………ッッ!!」
素早くそのヒゲオヤジが剣を振るう。
流れるような剣筋。それは間違いなく一流のモノだったろう。
ただ、それは。『フツーの人間』にとっての話であるが。
シュッ
ヒゲの右手首から先が無くなる。
「…………ぬぅっ!!」
左で放たれた剣撃を風斬りが真っ向から迎え撃つ。
左手に握られていたナイフの刀身は無くなった。
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