ナイフと少年と切られた人達

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二回目と三回目はモモとアコに暗殺の業をみっちり仕込まれた後だったからあっさりと終わった。      確か、雉原(きじはら)家と申藤(しんどう)家のこれまたヒゲオヤジと白髪のおじいちゃん。                恥ずかしながらオレの三回という仕事量は家族の中でワーストタイ。    弟?みたいな位置にあたる4つ下のタマキと同じ。     さっきから父親とか母親の後ろに?が付いてるのは俺たちが本当の家族ではないからである。      主に刀を武器として使う   父親代わりの『モモ』。   弓やボウガンなんかを使う   母親代わりの『アコ』。   そんで銃をっつーか銃しか使えない    弟代わりの『タマキ』。     あとは短刀を使ってる    オレが『サツキ』。    れっきとした男です。      この4人で小さい時から生活してる。    『殺し屋』として。      モモやアコはちゃんと名字や名前もあるけどオレとタマキには名前しかない。     そんなもん殺し屋には必要無いってコトなんだろう。    そもそも親の顔も知らない。つーか興味が無い。     そうやって修行して仕事をこなす人生がそんなに悪くないと感じてたし。    本当の家族じゃなくても今の家族のカタチがよかったから。        でも。転機は訪れた。                ある日、突然夕飯の時にモモが話しにくそうに切り出した。      「突然のコトなんだが。」    皆ただ事ではない空気を察し、息を呑む。      「今まで俺たちを雇っていた依頼主が、いや、組織が潰れた。」      「え?どゆこと?」    ポカンとして聞き返す。   その問いに、アコが答えた。    「つまりね。私達全員フリーになっちゃった、ってコトよ。」      「ふりぃ?ふりぃってなに。サツキ。」    タマキが聞いてくる。いや、わかんねーんだけど。   「要するに……無職?」   恐る恐る聞く。      「うん…。そういうことだ。まぁ今までの仕事の報酬は一生を生きていく分にはまったく問題無いほどあるんだが……ただ、サツキとタマキはまだ子供だろう?何かと問題があってね…。」    「むっ………」    確かに、教師だったコトもあるらしいアコの教育…いや、アレはもはや調教?のおかげである程度の学力はあるらしいけど…オレら。
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