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「それに…こんなモノまで来る始末だしね。」
ピラッと一枚の紙を差し出すモモ。
「なんじゃこら……!!」
それは、モモへの依頼書。俺たち家族を消せ。と。そう書かれていた。
「フリーになっていきなりコレだからね。邪魔なんだろう。組織が潰れた以上お抱えの掃除屋なんて危険以外の何者でもない。多分殺し合いの果てに生き残った奴を近くに潜んでるどっかの同業者さんが消すって算段だろう。」
「モモぉー。俺たち殺すのかぁー?」
タマキが悲しそうな声をあげる。
「モモだけじゃないわ。」
見ればアコの手にも同じ依頼書。
「どういうコトだよ……!!」
思わず声を荒げてしまった。
「さっき言っただろう?殺し合いをさせる気なんだよ。サツキとタマキに依頼が来なかったのは多分実力の程が低く評価されてるんだろうね。ふふふ、舐めてくれる。二人ともボクとアコが手塩にかけた立派な掃除屋だっていうのに。」
モモが立ち上がる。その目には殺気がこもっていた。
それはオレでもタマキにでもなく、他の誰かに向けられたモノ。
「さ、いくわよ。サツキ。タマキ。」
アコも立ち上がる。
「え?なにどこいくの。ってまぁ、そういうこと…だわな。」
風斬りをズボンの右ぽっけにしまう。
見れば。タマキも覚悟を決めたのか。愛用の銃を手にとっていた。
思えば初めてだ。こうして家族全員で一緒に『仕事』をこなすなんて。
ガチャッ
標的は恐らく森の中で息を潜めてるんだろう。
ザッ
ガサッ
ヒュッ
三人は先に森に消えていった。
オレは上からかな。
ガサッ
オレは木の上から獲物を探す事に決めた。
これで、家族ごっこは終わり。
思えば楽しかった。
厳しく、一切の妥協なくオレを鍛えてくれたモモ。
殺しの技術だけでなくオレやタマキに勉強まで教えてくれたアコ。
兄弟として苦しいのも楽しいのも分け合ってくれたタマキ。
涙は無く。ただ感謝の気持ちで胸がいっぱいになった。
おっ、なんか逃げるような人影発見!
「みーーーーっけたっ!!」
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