ナイフと少年と切られた人達

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最後にオレはモモからオレとタマキの新しい依頼主の住所の書かれた紙を手渡された。       「む、隣の県……。遠いな。」      仕事以外で他県にいくのははじめてかもしれない。     「大丈夫大丈夫。ほら、これが今まで預かってたサツキとタマキの通帳。あとキャッシュカードな。これからは自分で使っていいんだぞ。お金さえあればなんとかたどり着けるだろ?」     それは、モモシロ タロウと書かれたモモ名義の通帳。      「………モモ。」      「ん?」      「……名前、地味。」      「~~~~~っ、まぁともかく!!これで解散だ!」    珍しく顔を赤くしたモモは平静を取り戻した後。      「じゃっ、元気でな。」   と一言残し。歩いて、森に消えていった。      アコもしっかりね。なんて言葉を残して行ってしまった。      残されたオレとタマキ。     「いくか?」       「おう!いこう。サツキ!」      ザッ、と。    俺たちは走りだした。      「あんまり速く走ったらダメなんだそ、タマキ。フツーの人間に見られたらバケモンだと思われる。」     ザッ ガサッ      「でもすんげぇとおいんだろー?速く走らないとすごい時間かかっちまうぞー?」      「あのな、何の為にさっき金渡されたとおもってんだよ。これの使い方、わかるか?ほら、前にアコと買い物行った時に使っただろ?」      ちなみにこれとはキャッシュカードの話。    「おー、これは“こんびに”でつかうんだよな。わかってるぞ。」      「いや、確かコンビニだけではなかった気がするけど。」    どうも世間の一般常識にはオレも疎いから何とも言えない。      「やれやれ。とりあえず、タクシーに乗ろうタクシー!」      「おー、あの手を挙げて捕まえるやつかー!」      「そう、それだ!さぁ、とりあえず車の通りそうな道までいくぞ!」        しかしそんな一般道にタクシーは滅多に通らず基本的に駅なんかにタクシーは居るのだということを今日俺たちは三時間の待ちぼうけと引き換えに学んだのである。
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