蒼い波

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ほんの、二週間前。 俺は忍足先輩を、今は使われていない体育倉庫に呼び出した。 不意打ちに、敷かれていたマットの上に押し倒した俺を見ても、忍足先輩はまだ笑っていた。 あの、目に焼き付く笑顔で。 そのまま、軽くキスをした。 俺を押し退けようとして、忍足先輩の腕が俺を強く押す。 その瞬間、無防備だった唇の隙間から舌を差し入れた。 抵抗が弱まり、だらしなく涎が唇の端から流れ出た。 もう、忍足先輩の顔は笑っていなかった。 そこから先は、手順通り。 持ってきていた携帯であられもない忍足先輩の姿を撮った。 総てを終えた後、服をなおす俺の横で、マットに横なったまま忍足先輩は泣いていた。 どうしようもない独占欲にかられた。 どうしようもない欲望が支配した。 下克上…。 テニスでは、この人は越えられない。 俺では、この人は手に入れられない。 俺は思いがけず いや、納得だ。 忍足先輩を欲しがっていた。 テニスも、心も、身体も
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