彼女
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「えっ…?」 一瞬、思考が停止した。 けれど、それは許されなかった。 香織ちゃんがカッターを振りかぶったときには、僕の身体はとっくに動いていた。 振り下ろす直前。 僕は、怯えて動けなくなっているその子の前に飛び出した。 ――――風を切ったような音が聞こえた。 数秒後、僕の頬に鋭い痛みが走る。 「いっ…てぇ……!」 思わず痛い部分に触れると、ぬるっとした液体が溢れ出していた。
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