彼女

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立ち上がっても、まだ手をぎゅっと握られていた。 何だか恥ずかしかったので、離して、と言うつもりだった。 目の前の香織ちゃんが、笑っていれば。 空気が凍りつく。 「先輩…あたしたち、付き合ってるんですよね?」 その迫力に押され声が出ず、首をガクガクと縦に振った。 「なんで昨日、あたし以外の女の子といたんですか…?」 昨日? 昨日、昨日は確か、一人で図書館に行ったはずだ。 女の子なんか誘ってない。 「…そんな覚えは、」 「なんで嘘吐くの?」 全部言い終わらないうちに、遮られた。 「…先輩の彼女はあたしなのに。好きだったのにやっと付き合えたのに、連絡ないし家に行ってもいなくて、図書館見つけたのに…あの子といた、あの子と楽しそうに話してた!告白て遊び?遊びだったのねぇせんぱい?」 狂気に変わった瞬間だった。
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