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夢だ。
ものとものの境界が曖昧なふわふわとした、浮遊感にも似た感覚が僕をそう思わせる。
漫画の入った本棚、机、部屋の角に置かれたベッド、その足下に配置されたテレビ。
僕の部屋と幾分も変わらないけど、何かが違う。
──そう。何かが。
部屋の中心に何か……。
「よっ!とあっ!」
なんか、部屋の中心に電灯の糸でボクシングしてる女の子が……。
黒くてヒラヒラした服……ゴスロリ?に似た、黒メイド服を着た女の子が居る。
服をはためかせ、腕を懸命に突き出しして、それは思春期の少年のようだ。
僕。
いくら夢でもカオスに歯止めをかけようよ。自分でも理解不能な状況になってるじゃないか。
ってか、誰?この娘。
疑問に思っていると、黒メイド服の女の子は腕を止め、こちらを見た。
「おや。
やっと来ましたね。
こんばんは、絢御 文(あやみ あや)さん」
そして、僕の名前を呼んだ。
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