第一章:現在とこれからと

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          夢だ。     ものとものの境界が曖昧なふわふわとした、浮遊感にも似た感覚が僕をそう思わせる。     漫画の入った本棚、机、部屋の角に置かれたベッド、その足下に配置されたテレビ。   僕の部屋と幾分も変わらないけど、何かが違う。     ──そう。何かが。 部屋の中心に何か……。       「よっ!とあっ!」     なんか、部屋の中心に電灯の糸でボクシングしてる女の子が……。   黒くてヒラヒラした服……ゴスロリ?に似た、黒メイド服を着た女の子が居る。     服をはためかせ、腕を懸命に突き出しして、それは思春期の少年のようだ。       僕。 いくら夢でもカオスに歯止めをかけようよ。自分でも理解不能な状況になってるじゃないか。   ってか、誰?この娘。       疑問に思っていると、黒メイド服の女の子は腕を止め、こちらを見た。       「おや。 やっと来ましたね。 こんばんは、絢御 文(あやみ あや)さん」     そして、僕の名前を呼んだ。    
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