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ロダンはハッと気付くなり反射的にベッド脇に立掛けてあった大剣の鞘を抜いて勢いよく青年に斬りかかった。
「――シモン!!」
バアンッと勢いよく扉を開けて現れたのは珍しく慌てた様子のノアの姿。
ノアは扉を開けた姿勢のまま固まった。
目の前ではシモンが馬乗りになって男を押さえ込んでいたからだ。
「………………ああ」
しかし床に鞘から抜かれた大剣が転がっているのが視界に入ると、ようやく現状の意味を察したのかノアは冷静を取り戻した。
「ああ、ノア。来たんですか。それならついでに彼を押さえるのを手伝って頂けませんか? まったく……安静第一ですのに、あんなに弱っていた体から一体どうやってこんな力を出しているのか……」
「……分かった」
ノアは彼らに近付く。
見ればシモンの下にいる男はシモンを退かそうともがいていた。
「畜生……っ。どけっ、この!」
けれども、思うように力が入らないからなのか悪態を吐きまくっている。
「シモン、これは一旦眠らせた方が賢明だと思う。今の彼の状態じゃまともに話す気もなさそうだから」
「……分かりました。確かにそうした方がよろしいでしょうね」
シモンはノアの助言に頷くと男の額に手を当てた。
(な……っ、いきなり…眠気が……)
同時にロダンの意識は闇へと沈んでいった。
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