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ロダンを寝かせた状態で、居間にはシモンとノア、そしてセシルと魔術師の3兄弟が集まっていた。
そこで静かに切り出したノアの言葉にセシルが大声を上げた。
「村からの刺客!?」
「ああ、運ぶときに少し心を覗かせて貰った。名前はロダン。森に隣接するリガル村で一番の剣の使い手ということで今回俺たちを殲滅するために送られて来たらしい」
「またあなたは……勝手に人の心を覗いて……」
諌めるシモンの言葉にノアは悪びれた風もなく返す。
「何があるか分からない。情報は必要だろう?」
「まあ、そうですが」
はあ、と溜め息を吐いたシモンの横ではセシルが肩を震わせていた。
「何で……あの時に言わなかったの……?」
セシルは静かに問う。
「あの時に教えていたらお前は邸に連れ帰ることを何が何でも反対しただろう?」
「当たり前じゃないか!? 誰が刺客なんて好き好んで家に連れて帰るのさっ!
兄さん! さっさとあの男を追い出そうよ!!」
平然と返すノアとは逆にセシルは切れた。
しかし、シモンの答えはノアの言葉を聞いても尚、セシルとは逆のものだった。
「例え刺客でも……今はただの弱った人間です。このまま放って置いて見殺しにするわけにはいきません」
「…………っ……でも!」
それでも納得いかず言い募ろうとするセシルにシモンは刺すような視線を向けた。
結局反論の出来なくなったセシルは扉を壊すような荒々しい力で閉めると無言で部屋を出て行ったのだった。
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