介抱

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「シモン……」 ロダンの部屋をシモンが溜め息吐きつつ出た後、今までの状況に痺を切らしたノアが案を持ち掛けるとシモンは躊躇の色を見せた。 「しかし、それでは……」 「今日の夕食時の時間にまた食事を運んで来るんだろう? 手段を選んでたらあれはあのまま無駄な意地を張って下手をすれば死に至る。人間は脆いんだ。それでもあれは……いつまで我慢出来るのやら」 確かにノアの言う通り、今は多少まだ平気でもこのまま続けられては死に関わることになる。 それは解るのだが、しかしノアの提案した策は実行してしまえば彼の心を余計に閉ざしてしまう。そんな心配ばかりが胸を渦巻き、シモンはなかなか頷けないでいた。 「結果がどうあれどうせ今更だ。彼の命と心、どっちが大事だと問われれば俺は命と答える。命あっての心だからな。 俺たちには使えるものがあるんだからそれを使わなくてどうする」 いつになく多弁なノア。それだけにノアの言葉は強く気持ちを揺さぶる。 数瞬の後、シモンは心を切り替えることにした。 「そうですね……分かりまし」 「二人ともこんな所で何話してるの。もしかしてまだあの人間に手を焼かせてるの?」 シモンが返事をしようとした時、言葉を遮ってセシルが廊下の向こう側から両手を頭の後ろで組みながら歩いてきた。
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