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「……ぅ、ん……?」
うっすらと瞼を開けたロダンは今の現状に疑問をもつ。
(下がふかふかと柔らかいし、周りが緑一色じゃなくて白一色になってやがる……。何で天井があるんだ? 俺は森にいたはずだが…………)
そこへ柔らかさを伴った声が掛った。
「目が覚めたんですか?」
(女? ……じゃない、男か)
声のした方向に目を向ければ、そこには瞳が赤く銀の長い髪を低い位置で纏めた、一瞬女と見間違うような中性的で美しい容貌をした男がドアから入ってくるところだった。
「ああ、そのまま寝ていて下さい。あなたの体は大分衰弱してたみたいですから。
……変ですね。そんなガッシリとした体型ならばそうそう倒れるような柔な体ではないはずなのですが。断食でもしていたのですか?」
青年は起き上がりかけたロダンにベッドに寝るよう促すと、不思議そうに呟く。
「いや、断食をしたわけじゃないが……」
ロダンは青年の言葉に答えると疑問に思っていたことをぶつけた。
「ところでここはどこなんだ? 俺は確か森にいたはずだったんだが」
「……ここは森にある私の邸です。他にも住んでいますが。森であなたが倒れていたのを発見して、危うい状態でしたのでこちらに連れて来ました」
「――森の…邸……?」
青年が何の気なしに伝えた事実をロダンは引っ掛かりを覚えながら呆然と繰り返した。
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