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第一章【世界の変化】
[古代の兵器]
空には輝く太陽、そして快晴の天気。そんな空の下、黒いマントを纏い、さらにフードで顔を隠している人が居る。その影は人気のない道を歩き、森へと入って行った。そして大分奥まで来た頃、フードを取り去る。
「付けられてはいないみたいだな」
そう呟く少年『大空 真空』は、辺りを見渡しながらさらに森の奥へと進む。彼が誰にも姿を見られないようにしているのには訳がある。それは、彼が全国に指名手配されているからだ。
彼は、三年前に精霊の姫達をさらったのだ。…というのは表向きで、実際は姫達が真空に付いて来たのだが、総国はそれを公にせず、罪を真空一人に擦り付けた。姫達なのは、姉と妹の二人だからだ。真空は剣闘師を目指して居たが、精霊界の姫達を誘拐したということで世界に追われる身となり、剣闘師の夢を断念。しかし、真空はそれを悔いては居なかった。剣闘師になるより、きっと満足できているからだろう。
「よし、着いた」
そして森の奥、大きな洞窟が現れる。その中に、真空は入って行く。暗がりなのに真空は壁にぶつかったりしない。それは彼が特殊な眼力を持っているからだ。かつて神が生み出し怪魔、今では『森羅万象』と呼ばれているが、それに等しい伝説の怪魔『光獣』。その名の通り、光輝くその獣は、伝説とさえ言われていた。しかし数年前、真空は光獣の中でも神獣と謳われた伝説中の伝説の獣『栄光獣』をその身に封印したのだ。栄光獣はシャイニングビーストとも言われるが、なぜかその身に天馬の翼と、麒麟の角をもっているのだ。そして栄光獣は、この世のすべてを見ることができると言われる神眼『千里の光眼』をもっていた。そしてその身に栄光獣を封印した真空は、栄光獣の力を使えるようになったのだ。…しかし、真空は栄光獣を封印する力を持っていなかった。
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