第一章【世界の変化】

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〝…今日は、何か見つかるといいね〟  真空の頭に響くこの声の主、数年前に真空と一つとなった精霊『ラクエンス・シャウィング』だが、普段は『夜桜 葵』と名乗っている。つまり葵が真空の力となって、真空はその身に栄光獣を封印するだけの力を得た。なぜ二人が一つになったのか。…それは、栄光獣の力により、二人は死にかけたのだ。真空は命を、葵は肉体を失い、生きるために真空は葵の肉体となり、葵は真空の命となるしかなかったのだ。今は、二人で一人。死ぬまで同じ体を共用する運命共同体だ。 〝コンナ場所ヲ調ベテ何ニナル〟  そしてこの声の主は栄光獣。真空と葵をこんな姿にした張本人だ。封印した当時は、栄光獣を抑える力を真空は持って居なかったため、葵は栄光獣と共に自らを封印し、眠りについていたが、三年前に真空は精霊界の姫である、姉の方の精霊『シャオーヌ・ラウフィン』普段は『紗嗚』と名乗っているが、彼女は光の精霊であり、その光の力を借りて真空は栄光獣を従わせた。そのため、今は葵もこうして世界を見ることができる。 「お前には関係ないよ。でも、古代の遺跡は調べなきゃ」  真空が今居る洞窟は、地図にも載っていない場所。数日前にたまたま見つけた大昔の遺跡。かつて、森羅万象がこの世から消し去った科学の結晶があるかもしれないのだ。大昔の遺跡はいくつか見つかっており、そこから極稀に、無傷の兵器などが見つかっている。人々はそれを『太古の遺産』や『科学の結晶』と呼んでいた。真空も千里の光眼を使い、いくつかの遺跡を見つけて、そこから二つほど太古の遺産を発見した。伝承では空を飛ぶ船や破壊の塔、生物兵器も存在したと言う。 「どうやら、当たりみたいだな」  そして、今日も森の奥で太古も遺跡を発見したのだ。
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