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そう、この洞窟は千里の光眼にも映らなかったのだ。千里の光眼でこの森を見つけ、そして偶々、この洞窟を発見したのだ。今までの遺跡でも、多少見えにくかったりして、神眼ですら発見が困難だった。大昔の人々は、この力で、森羅万象からも、神の手からも隠れられたのだろう。しかし、この洞窟は、完全に映らないと言う、今までにない遺跡だった。
「とりあえず、千里の光眼でもこの中身が何なのか見えない」
〝…そうなると、お手上げだね〟
「まあ、とりあえず調べるか」
そう言って真空は、禍々しい気を放っているカプセルを避け、大きな機械を見る。真ん中に大きな画面があり、その下にいくつものスイッチやレバーが並んでいる。
「これをどう見る?」
〝…あの、カプセルをコントロールする…装置?〟
〝知ルカ。…我ハ寝ル〟
そう言うと栄光獣の声は消えた。
「古代の遺産は大変だな。…普通の機械なら千里の光眼で、扱い方なんてすぐ分かるのに」
〝…だから、昔の人は神に恐れられたんでしょ?〟
「まあな」
栄光獣のことは気にせず、葵と真空は考え込む。
「下手にいじって、何かなんのも嫌だしな」
〝…でも、それじゃいつまでも変わらないよ〟
確かに、葵の言うことはもっともだった。しばらく悩んだあと、真空はカプセルに近づく。
(やっぱり、中は見えないか)
真空はカプセルを覗き込んだが、黒い靄がかかったように中が見えない。…しかし、確かに何かがそこには入っている。
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