4人が本棚に入れています
本棚に追加
〝…どうしたの、真ちゃん!〟
葵の声は聞こえていたが、真空は怒りを抑えるので必死のようだ。
「お前ら、下っ端だな。…捨て駒と同じだ」
(あいつが、ギルバートが何かの鍵となる大事な古代兵器を、こんな弱者に取りに行かせるはずがない)
〝…誰でも、大切なら強い人に任せると思うよ〟
確かにそうであるが、真空の眼はいまだに洞窟の入り口を睨む。靄がかかったようにはっきりは見えないが、確かに洞窟の入り口には人影がある。そしてその人影はおそらく強者。
(まさか…な)
真空は、洞窟の入り口に居る者を気にしつつ、男達を見る。
「お前ら、このカプセルの開け方知ってんのか?」
「あ、ああ」「聞いてはいる」
男達の反応から見ても、どこか余裕がある。
(誰かが外に居るのは確定だな)
〝…どうするの?〟
(倒すよ)
葵の問に、真空は即答した。答えは決まっているからだ。話し合いをする気はないのだ。
(話して通じる相手なら…苦労はしないさ)
ギルバートに対しての真空の怒りは深い。
「急いで開けろ」
真空の声が少し厳しくなったので、男達は慌てて機械を操作する。
心を読まれないよう、男達は何も考えないようにしているようだ。
「カタカタ カタコト」
機械の操作は慣れているのか、男達は古代語を読むこともしない。
(どうやらただの下っ端じゃないな)
〝…解読係り?〟
〝ナラ、外ニ居ルノハ護送係リト言ッタトコロカ〟
真空の中では、男達には聞こえない会話がなされている。
〝戦イナド久シブリダナ〟
(できたら戦わないで逃げるから)
〝…無駄な戦いは、しちゃダメだよ〟
「!」
その時、カプセル中が動き出す。
最初のコメントを投稿しよう!