キズだらけの少年

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病室の扉が滑り、父さんが入って来た。 「無事で良かった」 その後ろにスーツを堅く着た男が付いて入ってきて言った 「意識はどうだい? 何があったのか わかるかい?」 何も警察には言わない。 父さんが解決策を用意するまでそうする。 だけど 「正直に全て話しなさい」と、いつもとは違う言葉を父さんが言った。 目と耳がおかしいのか?違う? 諦めの表情をした父さんが目に映った。 「見捨てるの?」と出た言葉に、スーツの男は食いついて 「私は刑事の亜久里といいます、何があったのか話してくれればいい」 と言った。 全て父さんの力を当てにしていたのだ、どう話していいかなんて整理がつかない。 権力者から路地裏の汚いホームレスにまで顔が広く、何度も何度も迷惑事を起しても救ってくれた父さんなのに、それなのに! 「覚えていません」
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