不幸少年

キズだらけの少年

「被害者や目撃者の話しでは、君が突然狂いだしてナイフを振り回したとの証言もあるが、君が話さないと不利になる状況にある」
と言う亜久里に驚いた。

「違う！あいつらがステージに上がって暴行してきたんだ！
リンチになって身を守ろうとしたらポケットにナイフがあって、ただ 振り回したんだよ」

そうか、正当防衛のはずだ、なのにトチ狂ってただって？

許せない、こんな目に合わせて そんな虚言まで出来るなんて、あそこにいた観客を許せない！

「君の怪我は、暴行を受けた後に動ける状態ではないと医者は言う」

は？「‥ナイフ振り回してるところを 押さえられて 暴行されたと？」

「警察は通報から７分後には現場に踏み込んだが、大半の客はライブハウスから逃げ出て、中は押し倒された人や怪我を負わされた人とそれを介抱する人が壁にもたれていた。

君はステージの真ん中で一人、ナイフを握り倒れていた。
まぁ、状況からだけでは…なんとも言えない」
と亜久里は答えた。

ナイフを握ってた‥。
「先にナイフを振り回したのなら、これだけ暴行を受けてナイフは握ったままな訳ない」

咄嗟に、屁理屈にしか聞こえない反論しか出来なかった。